修羅 黒衣の反逆(繍春刀Ⅱ 修羅戦場)1/3

プロローグ

 明の時代。
 後金との戦があり、戦場で沈煉は陸文昭ともうひとりの命を救った。
 「幾万の命が瞬く間に消えた」と陸文昭。「無様に死にたくなくば、生き方を変えてゆかねばな」。
 

本編

 戦から八年後。
 錦衣衛(警察と軍事を兼ねる組織)の沈煉は、とある店の惨殺事件について調べていた。持ち物により、死亡したうちのひとりが東廠(宦官の組織)の宦官 郭真と分かる。
 そこへ、同じく錦衣衛の凌雲鎧が「役所より調べを任せるといわれた」とやってくる。沈煉の部下 殷澄が「あやつに手柄を奪われるぞ」と憤慨する。

 錦衣衛は職務中に酒を飲むような乱れっぷりで、殷澄は特に飲む質であった。酒の勢いで「不敬のたわごと」を口にしていまい、雲鎧に聞きとがめられる。
 新しい遊覧船が沈んで皇帝が溺れたことが不敬のたわごとで語られたのだが、これがこの物語の筋に関わっている。皇帝がそのまま臥せったことも。
 雲鎧に連行されかけ、殷澄は逃亡。凌雲鎧に「お仲間は殷澄の話を喜んで聞いておりましたな」と脅され、沈煉は殷澄を追う。殷澄は見逃しを乞うが、沈煉は「見逃せば皆が巻き添えを食う」と譲らず、殷澄は自死した。
 しかし、この沙汰(捜査)は東廠に奪われた。
 

 殷澄の供養を願った――たぶん布施も施した――沈煉に、夥頭和尚は数幅の絵を差し出し、うち一幅を選ばせ与える。
 沈煉は北斎を選んだ。雄鶏と螽斯が描かれた絵であった。「螽斯に惹かれます」。
 いまにも啄まれようという螽斯。展開が暗示されているような。自ら選んだというのもまた。


 その帰り道、雨に降られた沈煉に、女人が傘を差しかける。
 恐れられ嫌われる錦衣衛に近づく者は稀有である。沈煉は女人に興味を持ったものの、雨が上がるとそのまま別れた。
 

 沈煉の上司 陸文昭は次の沙汰として、反体制派の東林党を称えた絵師 北斎の捕縛を凌雲鎧に命じる。「東廠はその者を消せと言うておる」。
 北斎の絵を好む沈煉は、「顔を拝みたい」と同行した。北斎は先日の傘の女人であった。
 楽しんでから殺そうとする雲鎧を沈煉が「殺すなら早くやれ」と抑え、雲鎧は沈煉が「逆族と通じていた」と断じる。争いとなって、沈煉は雲鎧を殺めてしまった。動揺の隙をつき、北斎は逃亡。

 沈煉は取り繕い、「乗り込んだ途端に襲われた」と報告した。
 凌雲鎧は、東廠の長官 魏忠賢の甥であった。南鎮撫司の裴綸が沙汰を受け持つこととなる。
 錦衣衛は北と南の鎮撫司に分かれていて、沈煉は北鎮撫司に所属している模様。
 


 帰宅した沈煉が門をに手をかけると、猫の声が。扉を開けると先だって入る黒猫。
 饅頭を頬張りながら頭をなでてやる手つきが優しい。

 沈煉は、家の柱に文が打ち付けられているのに気づく。
 錦衣衛殺しを事由に彼を呼び出す脅迫状であった。
 

 呼び出しに応じた沈煉を三人の手練れが取り巻き、北鎮撫司の公文書庫を焼けと迫る。
 沈煉は「北斎はどこだ」と問う。この時点では北斎と三人の直接のつながりは明らかになっていない――現場を盗み見ただけの可能性もある――が、あるいは鎌をかけたか。「大切な証人だ、連れてくるものか」。
 逃走しようとするも追い詰められ、已むなく承知。「書庫を燃やすゆえ、北斎を渡せ」。

 手練れのうち丁白纓という女人がめちゃくちゃ強いんだわ‥‥
 


 吹替版を視聴。
 古風な言葉遣いが雰囲気をつくるが、たびたび現代的表現が紛れてだいなしになる。