正魔の対比

魔道祖師 完結編 第8話 天が定めし者

この回で端折られた残念部分。
藍宗主が簫を吹いて言う、「深夜に楽を奏でてはならない。禁を破ってしまった。」
藍兄弟は藍家の規則を自身の礎にし、どんな折にも自らの行いを規則に鑑みる。兄弟の過去とあわせ、必要な部分だと思う。
義理の弟を信じると言いながらも疑わずにはいられない藍宗主は、つかのまその思いを簫の音に託すが、自らの理性に規則を守るよう仕向けられてしまう。あまりにせつない。
そして、のちに明かされる忘機の禁破りが、彼にとってどれほど重大だったことか‥

ところで、このものがたりの根底には正道と魔道の対比がある。
(正魔より正邪のほうが分かりやすいか。)
前世の魏無羨は(魔道に当たる)鬼道を修めながらも精神は正道であろうと努めていたが、怒りにのまれ術の反動がもとで死亡。
忘機は、前世の無羨に正道にかえれと諭し続けたが、今生の無羨には(のちにさらに前からであったことが明かされるが)自分が傍にいて支えることを選ぶ。
その周りでは、正道の頂点となっていた者の邪さが暴かれ、無羨の名誉も一部回復される。
作中で連呼される夷陵老祖ではなく魔道祖師がタイトルになっているのも正魔の対比を踏まえてのものと自分は考える。
なので、エンディングの歌詞の「魔法」がひじょうに惜しい。
得難いもの素敵なもの的な意味で使われているが、それだったら奇跡とかに置き換えほしかったな‥
オープニング・エンディングも含めてひとつの作品世界なのだから。