向かう先を失くした愛の暴走

復讐のセクレタリー (2015)

復讐を描いた映画として見れば、緊張感に欠け、食い足りない気分にさせられる作品であり、お薦めはできない。
なので、いったんタイトルにある「復讐」は念頭から外してご覧いただきたい。

自分の感覚としては、これは復讐の物語ではなかった。息子をわが手に取り戻すための母の戦いの物語だ。

自身の息子の復讐をしようとトマに近づいたものの、トマの息子レオと共にいることに目的がすり替わってしまったマリー。
レオはマリーの息子の死と引き換えるように生まれた。マリーが息子と同一視してレオへの執着を深めていくのは普通に理解できる。
(マリーの主観として)マリーとレオを引き離そうと動かなければ、トマの妻も父もあるいは命を奪われずにいられたかもしれない。たとえそれが薄氷を踏むような日常であったとしても。
しかし、マリーがレオと暮らすことは叶わなかった。
大事な息子を奪われたままでいられるだろうか? 否!
かくしてマリーの戦いが始まる‥

★★★☆☆

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